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そよかぜは、放物線を描きながら、まだ見ぬ世界をもとめて、吹きわたる。
年末の大掃除。ふだんの生活では目の届かない場所を掃除する。窓ガラスやエアコン、カーテンレールの上。部屋の隅々までキレイに掃除していく。窓から引っ掻くような風が吹き込み、今年の終わりを告げる。今年の汚れは今年のうちに。それが年末の大掃除。

大掃除に取り組む前、何から手をつけるべきかを考える。この作業を意識的にも、無意識的にもおこなう。まずは前日から散らかしっぱなしの服を洗濯機へ突っ込む。そのままスイッチを押し、リビングへ戻る。かたくしぼった雑巾で窓ガラスを拭いていく。ガラスごとに雑巾の面を変え、つねにキレイな面で拭くようにする。

まだ洗濯機の音は鳴りやまない。エアコンのフィルターを外し、掃除機でホコリを吸い上げる。ベトベトでしぶといホコリは、雑巾できちんと取っていく。床に落ちたホコリは掃除機で吸い上げ、そのまま部屋全体にかけていく。ピーッ、ピーッと音が鳴る。掃除機の電源を切り、洗濯機へむかう。洗濯物を引っ張り上げ、次々に干していく。

全体を見通した上で、それぞれの作業をこなしていく。この感覚は「編集」にも似ている、気づいたらそんなことを考えていた。

そもそも編集とは、さまざまな要素を整理、構成していくことを意味する。例えば、書籍の編集では、企画や取材、ライターの手配など、それぞれの要素を繋ぎ合わせて、一冊の本をつくりあげることを言う。では掃除における編集とは。それは掃除する場所や方法、順番を構成していき、その過程で部屋という空間をつくりあげていくこと。

掃除機をかけやすくするために、部屋の片付けから始める。掃除機はエアコンのホコリを落としたあとにかける。窓ガラスは上から下に、跡が残らないように一定方向に拭いていく。その部屋の環境に応じた掃除、編集をおこなっていく。エアコンのない部屋、一面カーペットの部屋、猫を飼っている部屋。それぞれの部屋に、それぞれの編集が必要となる。

何も掃除だけが編集ではないはず。集めた食材を組み合わせる料理だって編集だし、野球やサッカーだって、その場の状況で異なるプレーを選択する上では編集ではないか。そう思うと、つまらないと感じる作業にも、価値を見出すことができる。

そんなことを考えていると、いつの間にか洗濯物を干し終えていた。これで全部終わり。野菜ジュースを一杯飲もうと思い台所へ。シンクにたまった油まみれの食器たちに気づく。

「シンクは編集し損ねた」

岡部悟志

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